Xのアルゴリズム完全整理【2026年8月公開コード】— いいねは点数ではなく「経路を開ける鍵」だった

トピック解説

2026年8月13日、Xは「For You(おすすめ)」タイムラインを決定しているコードを公開した(GitHub: xai-org/x-algorithm、Apache 2.0)。2023年の公開と違い、今回はスコアリングの実数の重みと、表示・非表示を分ける仕組み一式が含まれている。本稿では公開コードの読解で判明した内容を、運用に効く順に整理する。

先に最大の注意点を書いておく。コードに書かれている数値は「初期設定値」であり、実際の稼働値は非公開だ。仕組みの構造は確実に読めるが、個々の数字は「設計上の目安」として扱うのが正しい。

スコアの基本式 — 重み × 行動確率の総和

For You のスコアは、驚くほど単純な式で決まっている。あなたがその投稿に対して各行動(いいね・返信・リポスト等)を取る確率をモデルが予測し、それぞれに固定の重みを掛けて合計するだけだ。重みはコードに直書きされており、例えば「いいね=0.5」「通報=−234」といった実数が確認できる。

拡散の関門は3つ — すべて「いいね」で定義されている

Xアルゴリズムの拡散関門の図解
公開コードから読み取れる拡散の関門と時間設計(数値は初期設定値)

興味深いのは、いいねの重みは0.5と最下位クラスなのに、拡散の門はすべて「いいね数」で定義されている点だ。

  • 1いいね — ここで初めて検索インデックスに載り、フォロー外への配信候補になる
  • 8いいね(8時間以内) — 関心の近いユーザー群への配信が始まる
  • 32いいね — 再評価ループに入る

つまり、いいねは「スコアを上げる点数」ではなく「配信経路を開ける鍵」として機能している。

フォロワー内とフォロー外は別の世界

フォロワーのタイムラインには時系列で無条件に流れ、いいね数は関係ない。一方、フォロー外の読者には「24時間以内に1いいね」の索引を通らない限り、候補としてすら存在しない。「いいねは多いのにインプレッションが伸びない」状態はフォロワー内で消費されている状態であり、その逆はフォロー外へ配信が届いている状態、という切り分けができる。

さらに、投稿は「いいねした人の関心領域」に向けて配信される。同じ8いいねでも、誰から貰うかで配信先が変わる。数を増やすより、届けたい層からの反応を得るほうが構造上は効く。

時間の設計 — じわ伸びは起きない

  • 投稿から3分間は誰にも配信されない(候補リストが3分キャッシュされる)
  • 8いいねの評価は8時間で半減する。遅く付くいいねほど価値が下がる
  • 表示1,000回に達すると、小規模アカウントの救済枠から外れる
  • 48〜49時間で再評価が完全終了する。長期のじわ伸びは設計上起きない
  • 検索インデックスは約1,024万件の固定長で、あふれると古い順に押し出される

実は「滞在時間」が最も効く

いいねを押す読者は1〜3%程度だが、読む読者はほぼ全員だ。期待値で比べると滞在時間のほうが4倍近く効く計算になる。素通りの減点は−0.02、滞在は1秒あたり+0.004。約5秒読ませれば素通りの損を取り返せるため、冒頭1行の設計がほぼすべてを決める。

効かないもの・二重に効くもの

  • ブックマークはモデルの入力に存在しない。プロフィールクリックは重み0.0
  • コミュニティへの拡散集計は「いいね」だけを見ており、リポストもリプライも入らない
  • 逆に、いいね・返信・リポスト・引用・表示の5つは実測カウントとモデル予測の両方で効く
  • 返信はいいね10回分、相互フォロー相手からの返信は40回分に相当する

コードに明記された「自滅する運用」

  • 同じ話題の連投 — 類似投稿は片方が完全にゼロ扱いになる(減点ではなく非表示)
  • 同時刻の連続投稿 — 2本目は62.5%、3本目は43.75%までスコアが減衰する。時間をずらせば各投稿ともフルスコア
  • 「いいねして」と書く — フォロワー数による免除がない唯一の違反で、しかも本人に通知されない

動画の扱いにも条件がある。5秒未満・画像との併載・リンク付きは「動画」として扱われず、高画質枠は480×480より大きいことが条件(ジャストは失格)となっている。

運用への示唆 — チェックリスト

  1. 冒頭1行に最も時間をかける(滞在5秒の損益分岐を超えるため)
  2. 最初の1いいね・8時間以内の8いいねを、届けたい層から得る設計にする
  3. 投稿間隔を空ける。同話題の連投をしない
  4. ブックマーク誘導・プロフィール誘導をKPIにしない(アルゴリズム上は無報酬)
  5. 勝負は48時間。伸びなかった投稿は寝かせず、別の切り口で作り直す

出典と限界

本稿の分析は、公開リポジトリ(xai-org/x-algorithm)の内容と、コード全体を読解した野田修一氏のスレッドおよび同氏の記事「Xアルゴリズム大全」の指摘を基に、運用観点で再構成したものである。繰り返しになるが、コード中の数値は初期設定値であり稼働値は非公開のため、「仕組みは確実、数字は推定」という前提で活用してほしい。

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